「郵政造反組」となって05年9月の衆院選大分1区に無所属現職で出馬、落選して自民党を離党していた衛藤晟一氏(59)は、「盟友」を自任する安倍晋三・自民党総裁の裁定によって23日、参院選前の復党が確実になった。国政復帰のチャンスとして最有力視されるのは、7月の参院選比例区への出馬だ。これに対し、同じ参院比例区で競合することになる公明党県本部は猛反発。公明との選挙協力に期待する自民党県連にも波紋が広がっている。
晟一氏は前回衆院選で、主地盤の大分1区に送られた「刺客」が復活当選し、選挙区を追われる形になった。同選挙区と境界が重なる大分市の市長選への出馬も取りざたされたが、国政復帰にこだわり続けていた。
自民県連は参院大分選挙区に元総務官僚の擁立を公募で決め、公認も得ている。晟一氏にとって国政復帰には事実上、参院比例区しかなく、それには復党が大前提だったが、党本部の要職者が難色を示し、参院選前には困難とみられていた。
「それなのに……」。公明県本部の竹中万寿夫代表は絶句した。参院選で選挙区に候補を立てる自民に協力し、自民支持層の比例区票を取り込む考えだったが、晟一氏の復党で一転、競合関係になる可能性が強まったからだ。
公明は4月の県議選で、候補を擁立しない選挙区の多くで自民候補を支援し、参院選での自民との協力関係に万全を期す算段だった。それを帳消しにしかねない情勢に、公明との選挙協力に奔走してきた自民県連幹部も「わしの面目は丸つぶれだ」と頭を抱えた。
国民新党から比例で出馬する方針の後藤博子参院議員の陣営は「晟一氏は知名度も高く、県内でも中選挙区時代の地盤が依然、残っている」と警戒感を示した。
後藤議員の陣営によると、晟一氏は22日夜、都内での「大分市人会」に顔を見せ、近く復党が認められ、その暁には比例区から立候補する意欲を強く語ったという。陣営幹部の一人は「自民は国政、地方の両方の選挙で大きなリスクを背負ったことになった」と感じたという。
同陣営では「公明党との関係もあり、トントン拍子に進む話でもないはず。自民党の悪癖が示された典型的なケースを、有権者がどう判断するのか、選挙戦では訴えていきたい」と話した。
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