証券大手「日興コーディアルグループ」の不正な利益水増し問題で、同社は旧経営陣を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こす方針を固めた。
提訴の対象は、有村純一前社長(57)を含む3人とする方向で最終的に調整しており、請求額は20億円以上になるとみられる。
日興は問題の背景に、旧経営陣の法令順守意識の欠如があったと判断。旧経営陣が、会社法で定められた善良な管理者としての注意義務を怠ったとして、法的責任の追及に踏み切る。
日興株は現在、上場廃止の可能性もある監理ポストに移されており、東京証券取引所は3月中旬に上場廃止の是非を判断する見通し。現経営陣は、旧経営陣を提訴して過去と決別する姿勢を強調し、上場廃止を回避したい考えだ。
ほかに提訴対象となる見通しなのは、日興の山本元・前財務最高責任者(CFO)(48)、子会社の日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)の平野博文前会長(45)。
日興が設置した特別調査委員会は1月30日、「組織的、意図的な会計操作で188億円もの利益が水増しされた」との調査結果を公表。有村前社長について会計操作に直接関与した証拠はないが、「重大な経営責任があり、関与の疑いを否定できない」とし、他の2人は「直接かつ主体的に関与した」と指摘していた。
日興は今月1日、経営陣と弁護士らで構成する責任追及委員会(委員長・桑島正治社長)を設け、旧経営陣の法的責任を検討してきた。賠償請求は、おわび広告費のほか、特別調査委で要した費用、決算の訂正に伴う新たな監査の費用分などとみられる。
提訴は、早ければ3月中となる予定。