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2007年02月24日(土) 10時40分

大川・上峰町長初公判 検察手口厳しく指弾 口止めや職員に配達命令など読売新聞

弁護士とともに簡裁に到着した大川被告(左)
 上峰町長の大川紀男被告(59)の公選法違反事件の公判が鳥栖簡裁で始まった23日、検察側は冒頭陳述で、手口を厳しく指弾した。

 1月の町長選で3選を果たしたばかりの大川被告は、紺色のスーツ姿。被告人席に着席する前に裁判官に一礼し、罪状認否では、用意した紙を読み上げて公選法違反に当たるという認識がなかったことを強調した。

 検察側の冒頭陳述によると、大川被告は1999年の町長就任後から中元、歳暮名目で町議らに酒などを贈り始めた。町議や区長の一部はやめるよう申し入れたが、聞き入れなかった。

 2005年12月9日には、区長に数の子を配るよう命じられた職員が「できません」と断ったが、大川被告は「おいが配りよっけん、よかろうもん」と聞き入れず、同乗した公用車で届けさせた。また、大川被告は町議らに対し、警察には数の子をもらったことを話さないよう口止めをしたほか、取り調べで正直に供述した職員をどなりつけ、その後の取り調べ状況を報告するよう指示した。

 検察側は、役場内にポスターが掲示されて寄付の禁止違反について周知されていたことや、99年の町長選で、町民に物品を贈り、大川被告の親族が取り調べを受けていたことなどから、「違法と認識していた」とした。

 公選法などによると、同法違反の罪で有罪が確定すると公民権が停止され、失職するが、裁判所が情状により、公民権停止の規定を適用しなかった場合は、失職を免れる。

 読売新聞の取材に対し、大川被告の弁護人は、審理で公民権停止の免除を求めていく方針を示した。

     ◇

 初公判は、1月の町長選で大川被告との一騎打ちで敗れた武広通明さん(62)ら、上峰町の住民たちも傍聴した。

 冒頭陳述で検察側が、大川被告が公用車を使ったり、職員に配達や配送を指示していたりしたことを指摘すると、「ひどいことをする」「まさか、そんなことまで」と小声でささやき合っていた。

 大川被告は、検事や弁護士のやり取りを、いすに座って、下を向いたまま聞き入っていたが、時々、考え事をするように天井を見つめていた。閉廷後は、報道陣からの質問にも応じず、「裁判中ですから」とだけ言い残し、弁護士と一緒に車に乗って走り去った。

 傍聴した男性は「大川被告には不利な状況がそろっている。(有罪確定で失職し)出直し選挙になる可能性が大きいのでは」と話していた。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news001.htm