関電は1月、配管破損事故で11人の死傷者を出した美浜3号機を2年半ぶりに起動。その直後から、高浜1号機で放射能を含む1次冷却水が漏れ、作業員4人にかかったほか、大飯原発では協力会社員による放射線管理区域からの備品の無断持ち出しが発覚。美浜1号機では国の検査を受けずに緊急炉心冷却装置(ECCS)の付属配管の溶接工事を行うなど、全原発でトラブルや不祥事が相次いだ。
筑後康雄・県安全環境部長が3者の代表に文書で申し入れ、「決してトラブルは起こさないよう、関係者全員の意識を高めてほしい」と述べた。関電の森本浩志・原子力事業本部長に対しては「日常業務の確実性が疑われかねないトラブルが相次いでいる」と厳しく注意した。
森本本部長は「基本ルール、基本動作の不徹底などによるトラブルで、県民の信頼を大きく損わせて申し訳ない」と陳謝した。
また、同本部長は、大飯3、4号機での温排水データ改ざん問題で、他の原発に対する調査では同様のケースは確認されなかったことを報告した。
県内では、日本原電の敦賀原発でも温排水データの改ざんが発覚。原子力機構の新型転換炉「ふげん」では、原子炉補助建屋のコンクリート壁強度をめぐり、強度不足を示すデータが流出し、機構側が「検証前で信頼性は乏しい」と釈明に追われる事態が起きた。
関電が事前了解願 大飯1、2号機工事で
関西電力は23日、大飯原発1、2号機(おおい町)の原子炉出力調整に使用する「ほう酸」を1次冷却水から回収する系統の改造工事について、安全協定に基づき、県と同町に事前了解願を提出した。了解されれば2008年6月から増設工事に入る。現在は1、2号機で同じ装置を共用しており、負担軽減を図る。