都議会は22日、予算特別委員会での質疑が始まった。3選を目指す石原慎太郎知事と、民主党や共産党議員が激しい論戦を展開した。一方、建築家の黒川紀章氏(72)はこの日会見を開き、正式に立候補表明。国立市長は石原都政を厳しく批判した。3月22日の知事選告示まで1カ月。選挙に向けた動きは、慌ただしさを増している。
予算特別委員会で民主党の田中良議員は、都が出資する新銀行東京の経営状況を追及。同行は開業2期目の上半期で154億円の赤字となり、目標だった3期目での黒字転換が困難となっている。石原知事は「貸し付けがほとんどデフォルト(債務不履行)したのは、経営者側の見識の問題だと思う」と述べ、「大手行が中小企業融資を増やし、あおりを食った」などと弁明した。
共産党の曽根肇議員は持ち時間の大半をトーキョーワンダーサイト(TWS)事業の追及に充てた。TWSの領収書に牛乳やコンビニ弁当などが含まれていたとして「税金による飲み食いで、乱脈経営だ」と指摘。渡辺日佐夫・生活文化局長は「不適正な支出はなかった」と説明した。石原知事は、事業立ち上げ時にTWSの組織の位置づけがあいまいだったことを認めつつ、「乱脈ではなく、ただの混乱だ」と述べた。
曽根議員は、知事の四男の延啓氏をTWSから一切、手を引かせるよう繰り返し迫ったが、石原知事は「そういう質問は、げすの勘ぐりだ」などと突っぱねた。
◆黒川氏「23区、市にする」◆
知事選に立候補表明した建築家の黒川紀章氏は22日の記者会見で、23の特別区を市にすることを公約として打ち出した。市になれば権限が増すため、東京を「多核型」の都市にすることにつながるとしている。千代田区のように、市と同等の権限を目指している区もあり、導入から60周年を迎えた区制のあり方に一石を投じそうだ。
黒川氏は「日本全体で地方の時代をやろうとしているのと通じる」として、区を市にすることで都内の分権が進むとの考えを示した。
23区では一体性を確保するため、市町村が通常行う消防や上下水道などを都が担当している。その一方で、市税である固定資産税などを都が徴収し、一部を財政状況に応じて区に配分している。このため、区側には市に比べて裁量の幅が狭いという不満がある。
◆「石原都政変えたい」国立の上原市長◆
国立市の上原公子市長は22日の会見で、都知事選について「石原都政はできるだけ早く変えたい」と述べた。上原市長は、浅野史郎・前宮城県知事に立候補を求める市民の会に参加している。
上原市長は「ニートやフリーター、高齢者が生存権を危ぶまれ悲鳴を上げているが、都には届かない」と石原知事を支持しない理由を述べた。
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