藤田雄山知事の後援会による政治資金規正法違反事件で、広島地検の事情聴取を受けた元秘書が、97年の知事選で知事陣営が「対策費」を渡したと供述した現職県議10人の氏名が22日、わかった。朝日新聞の取材や県議会調査会に対して、全員が現金の授受を否定している。(福家 司、八百板一平)
公開された事件の刑事訴訟記録によると、元秘書は一昨年12月、地検の調べの中で、元事務局長(事件で有罪確定)の自宅から押収された「対策費」のメモを見せられ、「このメモは私が書いた」「『50』と書かれているのは、言うまでもなく『50万円』を意味する。メモに掲げている各人に、書いてある金額を渡した」と供述。さらに「メモの事件関係者15人はすべて97年当時の県議。この中で、現在県議でないのは5人」などと述べている。
一方、元事務局長はメモについて「金を渡した後の集計を書いたものか、金を渡す予定を書いたものかまでは分からない」と供述している。
判明した10人は次の通り。(会派別、敬称略)
【自民党議員会】奥原信也(呉市)▽山田利明(安芸郡)▽小島敏文(世羅郡)▽坪川禮巳(豊田郡)▽木山耕三(比婆郡)
【自民党良政会】新田篤実(広島市中区)▽窪田泰三(同市南区)
【自民党刷新会】平田修己(三原市)
【自民党広政会】大山広司(豊田郡)
【県民同志会】石田幹雄(福山市・沼隈郡)
10人は、全員が当時の知事選で藤田知事を支援したと認める一方、現金の授受を強く否定。「無風選挙だったのに、なぜ『対策費』が必要なのか」「メモに名前がある理由がわからない」などと話した。
県議会は昨年12月の定例議会で県議の実名開示を求める決議案を全会一致で可決。これに基づき新田議長名で閲覧を請求したが1月、不許可となった。このため、不服申し立てを前提に再度、地検に請求を出している。
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