カーボンナノチューブの中で動く分子。上右の写真は上左の2・1秒後。黒いバーが1ナノメートル。下はその時のイメージ図で、分子の曲がり方が変化している=東大提供
中村栄一・東大教授らのチームは、ピンセットのような2本の足を持つ有機分子を合成。これを分子の太さよりやや大きな直径1.2ナノメートル(ナノは10億分の1)のカーボンナノチューブに取り込ませ、特殊な電子顕微鏡で観察した。
その結果、視野の中で分子が回転したり、2本の足をばたばたと動かしたりする様子を、40秒間にわたる動画としてとらえることができた。
これまで、一つの孤立した分子は(1)秒速数十メートルで飛び回り顕微鏡の視野に入らない(2)電子顕微鏡が照射する電子で破壊される、といった理由で、観察できないと考えられてきた。チームは、ナノチューブに閉じこめて分子の動きを制限したり、電子のエネルギーを小さくして分子の破壊を防いだりして、観察した。
中村教授は「分子そのものが動く様子を見たのは世界で初めて。過去の実験から予想された分子の挙動も観察され、興味深い」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY200702220367.html