芸能活動も今年で47年目、僕も63歳ですよ。還暦過ぎてから、年齢的なこともあるし、これからのことをいろいろ考えるようになった。
ある時、息子と話してて、「ちょっと歌、休もうかな」って、ふと言っちゃったんですよ。そしたら、「なんで?」って息子がいうから、「疲れちゃったんだよ」って言ったら、「それはわかるけど、歌楽しくないの?」っていうんですよ。
「楽しいより、つらかったことの方が多いかな。毎日楽しく歌ってるプロなんているかな?」って言ったら、息子は「じゃあ、これから自分で楽しめる歌を歌ったら?」って言うんですよ。
それを聞いて、僕はハッとしました。「自分で楽しめる歌かぁ、そっかぁ」なんて思ってね。自分の好きな歌を歌うなんて、そういえば、1回もないわけですよ。ファンがこういうことを求めているから、こういう構成にして、こうしなきゃいけないっていう、ある意味、規制の中で何十年もやってきた。
その息子の言葉がヒントになって、会場も曲目も全部自分で決めるっていう、はじめてのライブをやるんです。自分が好きな曲、歌いたい曲を歌うライブですから、8割は人の曲ですよ。「黄昏の宴」と銘打ったこのライブを、今年は東京、大阪で3回やる予定です。
息子は「それくらいのわがまま、ファンだったら許してくれる」だって。ヤツは時々いいこと言うんですよ。
そんな喜びに満ちた新しいチャレンジの一方で、試練もありました。
すでにお聞き及びでしょうが、僕が45周年のプロジェクトを任せていたマネジャーが僕を訴えたんです。これは、ある種の事故みたいなものですし、恨みもつらみもありません。正否を争っても仕方がないことですし、もうじき和解します。これもいい人生勉強ですね。=つづく
ZAKZAK 2007/02/22