米海軍横須賀基地を訪れた来日中のチェイニー米副大統領は21日、基地内で横須賀市の蒲谷亮一市長とも面会した。米国は、08年夏に日本で初めて横須賀基地に原子力空母を配備する予定で、配備を受け入れた市長に副大統領は感謝の意を伝えた。しかし、市長は席上、副大統領に対し、原子力空母の安全対策への要望はひと言も触れなかった。
(其山史晃)
面会は5分間ほど。チェイニー副大統領は「(横須賀基地に配備する原子力空母の)ジョージ・ワシントンは私が国防長官の時に建造された船なのでよく知っている。良い船なので、よろしくお願いする」と市長に伝えた。
また、副大統領は「米国政府と米海軍に対する横須賀市の理解に感謝している」と述べ、原子力空母受け入れに同意した市長に謝意を示した。
これに対し、市長は「横須賀は日米関係の第一線。横須賀と米海軍基地の信頼関係を深め、いい関係を維持していくことが大切だ」と答えるにとどめた。
原子力空母の配備問題をめぐっては、市と国、米海軍の間で防災協定の締結や防災訓練のシナリオ作りといった協議が続いている。市長は、昨年6月に配備を容認した後も、安全対策の確保の必要性を市議会などで繰り返し主張してきた。
副大統領に、その点を迫る格好の機会だったが、市長は儀礼的なあいさつに終始した。原子力空母の安全対策について言及しなかったことについて、市長は面会後、取材陣に「今日はそういう具体的な話をする雰囲気はなかった。わざわざ私に会う時間を作ったのは、空母問題の重要性を認識しているからだと思う。防災協定、安全対策が大事というのは、常々米国に言っているので理解しているはず」と説明した。
ただ、市長の対応について、原子力空母の配備反対の運動を続けている呉東正彦弁護士は「まさに自治体外交のチャンス。安全対策や原子力艦の情報公開、防災協定についての要求を突きつけるべきだったのではないか」と批判した。
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702220003