●「受忍限度超えない」
競艇の場外舟券売り場「ボートピア習志野」(習志野市)は周辺の住環境などに悪影響を及ぼすとして、付近住民らが、不動産管理会社「テックエステート」(同)を相手取り、設置差し止めなどを求めた訴訟の判決が21日、千葉地裁であった。長谷川誠裁判長は「手続きは適法で、利益の侵害が受忍限度を超えるということはできない」として、原告の訴えを棄却した。
原告側は控訴する方針。原告は05年3月に提訴していた。施設は06年9月に開設されている。
長谷川裁判長は判決で、付近の住宅地について、「優良な居住環境として一定の価値が置かれている」「利用者が往来することで治安の悪化の可能性はないとはいえない」と指摘。しかし、施設側が治安対策を立てていることなどから「著しい支障をきたす恐れがあるとは言えない」と環境が悪化するという原告側の訴えを退けた。
また、原告側が「付近の自治会・町内会の同意を得ていない」と主張した点については、周辺は一般住宅の建築が認められていない地区だと指摘。「住民は存在せず同意を得る対象の自治会がない」と判断した。
原告側代理人は「本当に実効的な対策がとられているのか、疑問が残る」などと語った。被告側代理人は「妥当な判決。これまでもトラブルがあったという話はない」と話している。
●居住環境「一定の価値」は認める
64人の原告の多くは、70年〜90年代前半に周辺に転入した。訴訟では「自然や文教施設が充実した地域」「『文教住宅都市』である習志野に安心して住み続けられると思い移住した」と訴えていた。
判決は、治安や環境悪化を懸念する原告の主張を退けたが、原告らの住む秋津・香澄地区については「市の地区計画上、優良な居住環境として一定の価値が置かれている」とは認めた。
これについて、市企画政策課は「文教住宅都市憲章(70年制定)は、高度経済成長期の乱開発から住民と地方自治を守るためにまちづくりの目標を定めたもの。公共施設が一斉に老朽化した現在、財政負担なく歳入が得られる施設に同意し、自治体存続を図ることはその理念に外れていない」と話す。
施設の来場者は1日平均約1千人で、売り上げは1日3千万円台。市は19日開会の市議会で、売り上げの1・5%にあたる環境整備協力費2億5千万円で基金を創設したうえ、07年度に全額を校舎改修に使う条例案を提出している。
市は「住民を交えた環境委員会などを通じ、懸念される問題が起きないよう適切な対策を取る」としている。
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