2011年7月に地上アナログ放送から地上デジタル放送へ完全移行する。テレビの買い替えを考えている人などにとっては、まだまだと思っていても、そろそろ本格的に知っておく必要もありそう。そこで「今さら人に聞けない地デジの基本」を押さえておこう。
【今のテレビじゃ見られない?】
一般視聴者にとって、地デジ移行で一番の問題は、ウチのテレビでこのまま見られるか−。結論から言うと、地デジ対応テレビか、地デジ受信チューナーがなくては、見られなくなる。
販売店には現在、地デジ対応と未対応の2種類のテレビが混在している。地デジ未対応のテレビは当然安いため、「割り切って買っていくお客さんも少なくない。正直に言って積極的に買い替える人は少ない」と大手家電量販店担当者は本音をもらす。
ここ10年のテレビの買い替えサイクルは8年程度。「耐用年数などを考えながら、新機種のラインアップがそろうボーナス時期をあえてはずして、値ごろ感がある型落ちを狙う手もある」(オーディオ誌編集者)という奥の手も。
【チャンネルが変わる】
地デジでは現在のUHF帯に変わるため、キー局のチャンネルはすべて、20Ch台へ変更となる。しかしそれでは分かりにくいため便宜上、各放送局では相互の取り決めで、リモコンの数字ボタンに1ケタの番号を振り分けている。
関東では現在、10Chのテレビ朝日が5Chに、12Chのテレビ東京が7Chに、さらに3Chには県域民放が入るため、NHK教育は2Chとなる。
「民放では最もチャンネルのイメージが変わってしまうテレビ朝日では、『5Ch=テレ朝』のイメージを定着させるために早くも番組スポットのキャンペーンをスタートさせている」(テレビ誌編集者)と見えない苦労まで。
【屋根のアンテナが消える】
これまでのアナログ放送では、一戸建ての家などで屋根の上に、VHFとUHFのアンテナを立てる必要があった。しかし、地デジになると、電波の受信レベルが多少低くても問題なく受信できるようになるという。
このため、アンテナを屋根裏など屋内に設置することが可能に。台風などで倒壊するリスクもなくなるうえ、美観的にもスッキリし、今以上に“空が広く”なりそうだ。
【テレビ誌も変わる?!】
現在、週刊や月刊で数種類のテレビ雑誌が発行されているが、地デジ放送には「電子番組表(EPG)」と言われる“放送”もある。
リモコンの「番組表」ボタンを押すことで、テレビ画面で1週間分の放送予定を見ることができるほか、さまざまな番組情報も得られるようになる。
「テレビ雑誌にとっては手ごわいライバルだが、テレビ局と視聴者の垣根が取り払われて、より番組が身近に感じられるはず。番組や出演者の隠れたエピソード・インサイド情報を強化した誌面作りを今から検討中」(先のテレビ誌編集者)
テレビが激変するまであと4年−。
ZAKZAK 2007/02/21