記事登録
2007年02月21日(水) 21時24分

新潟日報が社説盗用、朝日新聞社説から 論説委員認める朝日新聞

 新潟日報社(本社・新潟市)は21日、06年11月21日付の「さらに失踪(しっそう)者の捜査を」と題した社説が、朝日新聞の同月18日付社説「また広がった拉致の闇」からの盗用だったと発表した。同社は執筆した小町孝夫論説委員(55)を21日付で総務局付とし、社内に調査委員会を設置した。

 新潟日報社によると、同社が盗用があったと判断したのは、鳥取県米子市で77年に失跡した松本京子さんを、政府が正式に北朝鮮による拉致被害者と認定したことに関する社説。複数の新聞社から21日午前、同社に指摘があり、調査したという。

 冒頭の「北朝鮮による拉致被害者が、また一人増えた。鳥取県米子市出身の松本京子さんだ」という部分は、朝日新聞の「またひとり、北朝鮮によって拉致されたと見られる日本人が増えた。鳥取県米子市で縫製工場に勤めていた松本京子さんだ」との書き出しと酷似。ほかにも五つの文章が酷似していたと判断した。

 さらに、松本京子さんの拉致状況を説明したうえで、母の三江さんの話に触れるという展開や、拉致という犯罪のむごさに言及するという点も朝日新聞と似ていた、とした。

 同社の小田敏三総務局長は21日夕方の記者会見で6カ所について、「すでに記事で出ている事実もあり、一つひとつが盗用かと言われたら、本人も釈然としないだろう」としたうえで、「ただ、論理展開を見比べた時に『あまりにも構成が同じじゃないか』との指摘に『そういう風に受け取られても仕方がない』と本人は認めた。社としては引き写しの社説と判断した」と話した。

 小町氏は執筆の際、読売新聞など東京に本社を置く新聞社の社説にも目を通したという。

 同氏は75年入社。04年4月に専任論説委員に就任した。同社は06年11月から計7人で、平均週14本の社説を執筆していたという。

http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY200702210276.html