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2007年02月21日(水) 20時42分

「踏み字」事件、警部補減給など3人処分 鹿児島県警朝日新聞

 03年の鹿児島県議選をめぐる公選法違反容疑の任意捜査で、同県志布志市のホテル経営、川畑幸夫さん(61)に警部補(44)が自白を迫った際、親族の名前が書かれた紙を無理やり踏ませるなどした行為の違法性が問われた「踏み字訴訟」で敗れた県警は21日、この警部補を減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にした。「不適切な行為で県警の信頼を損ねた」のが理由。当時、志布志署長として事件の指揮をとっていた警視(60)を本部長注意、県警本部の警部(56)を所属長訓戒とした。

踏み字をさせた警部補ら3人の警察官の処分を発表する竹之内義次・首席監察官=21日、鹿児島市鴨池新町の県警本部で

 処分を発表した県警の竹之内義次・首席監察官は「民事判決を重く受け止めて厳正に対処した。誠に遺憾で申し訳ない」と謝罪した。しかし、川畑さんは「身内に甘い処分で開いた口がふさがらない。こんな処分だったら警部補はまた違法捜査をしかねない」と批判している。

 「踏み字」などの捜査の違法性を問うため、川畑さんは04年4月、県を相手に慰謝料などを求めて提訴。先月18日の鹿児島地裁判決は、警部補は少なくとも3回、親族の名前や親族からのメッセージに見立てた「早く正直なおじいちゃんになって」などと書いた紙を踏みつけさせた▽弁護士の選任権を侵害した▽高血圧症による吐き気や頭痛の訴えを無視した——などと認定。「公権力をかさに着て原告を侮辱するもの」として県に60万円の支払いを命じた。

 これに対し県は控訴を断念。判決を受けて川畑さんは先月24日、警部補を特別公務員暴行陵虐容疑で鹿児島地検に告訴した。今月20日には、警部補ら3人の懲戒処分を求める要請書と6109人分の署名簿を県警に提出した。

 23日には、同じ捜査態勢のもとで公選法違反(買収・被買収)の罪で起訴された12人全員が「自白を強要された」として無罪を主張している刑事事件の判決が言い渡されることになっており、地裁の判断が注目されている。

http://www.asahi.com/national/update/0221/SEB200702210010.html