同区によると、区内の大森、糀谷、羽田地区では江戸時代から昭和三十八年ごろまで、のりの養殖が盛んだった。江戸と近郊の暮らしぶりを描いた「江戸名所図会」にも、大森周辺でのりを製造する姿が描かれている。
区がこれまでに収集、保存したのり船などの生産用具計八百八十一件は、一九九三年から九九年にかけ、国の重要民俗有形文化財指定を受け、現在は区立郷土博物館(南馬込五)に展示、収蔵されている。
資料館は鉄筋三階建て、延べ約七百平方メートルを新築するのに加え、隣接の旧工事事務所約六百平方メートルを改修する。館内には、重要民俗有形文化財ののり船や焼きのり製造機などを展示し、干しのり作りの体験コーナーも設ける。かつて、のりが作られていた海辺や干潟を、来館者が見渡せるようガラス張りの構造にする。
区は「のりに関する博物館建設は念願だった。のり文化発祥の地という誇りを実感できる施設にしたい」としている。 (越守丈太郎)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20070221/lcl_____tko_____000.shtml