十代を中心に会員百三十万人にのぼる無料携帯着メロ・着うたサイト「ゴルゴンゾーラ」は、二〇〇四年に開設。昨春、「『将来の夢』を教えて」とユーザー(通称・ゴンザー)から募集したところ、平和を願う思いが多数送られてきたという。
同サイトを支援しているヤマハ・コンテンツ事業推進部の渡辺優樹さんは「夢、というよりも、シリアスな思いが多く、衝撃を受けた。凶悪な事件、いじめなどが報道される中で、若い世代の心の中には、われわれが想像していない世界が広がっていた。今の若い子たちは満たされていて、自分の夢を見いだせないということもあるようだ」と驚きを語る。
これらの声を形にしようと、ゴルゴンゾーラとヤマハがタイアップして「ゴルゴンゾーラ・レーベル」が誕生。シンガー・ソングライターの川嶋あいが寄せられた言葉をつなげるなどして歌詞を作成、サウンドプロデューサーのIkomanさんが楽曲を手掛けた。
歌手もサイトで募集した。男女約五千人の応募があり、運営側が絞り込んだ六人の候補者の顔写真や歌声を掲載し、ユーザーが投票した結果、外川が大差で選ばれた。「二十代の外川が選ばれたのは、お姉さん的存在に、自分たちの代表という思いを託したのでは」と渡辺さん。
外川自身も、このサイトのユーザーだった。「歌手になりたい、という気持ちはあったけれど、具体的に活動をしていたわけではなかった」と、合格を驚く。
「歌は好きだったけれど、はたから見ている感じでした。写メールと自己紹介メールを送るだけという、携帯の気軽さが良かった」と言い、「十代の子から出た言葉だけあって、飾りがなく、ストレートな歌詞です。心の中に、真っすぐに届き、どの部分をとっても共感できる歌詞だと思いました」とデビュー曲を語る。
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同サイトは、スポンサーから届くメールを読むことで得るポイントを使って、曲や歌の一部をダウンロードできるシステム。一般的には月額数百円という課金システムを、企業広告で解消した。「Together」はCDの発売前、ダウンロード一回(40秒分)につき一円をポリオのワクチン代としてミャンマーにスポンサーが寄付している。すでにダウンロードは四十万件を超えた。
「ささいなことでチャリティーができるって今までないこと。今後も、好きな音楽をダウンロードして社会に貢献できる機会が増えていくといいですね」と外川も期待を寄せる。
「いきなりアーティストデビューというシンデレラストーリーで、夢を与えられたら、という思いもある」と渡辺さん。今後も男女を問わず、アーティストの発掘を視野に入れている。
同曲は、特定非営利活動法人(NPO法人)「世界の子どもにワクチンを日本委員会」公式チャリティーソングにも選ばれている。CD(1200円)は売り上げのうち、一枚につき、はしかワクチン一人分(約100円)をミャンマーに寄付するという。
everyday,together
笑顔になるために
どんなときも 歩いていこう
太陽が昇っていく
僕らの頭の上に
同じもの、違うものを
抱えて現代(いま)を生きている
当たり前な幸せの
意味さえわからずに泣いてばかりで
見えない未来に希望も持てずに
臆病になってしまう…けれど
everyday,together
笑顔になるために
どんなときも 歩いていこう
everyone,together
涙なんかふいて
空を見上げて笑ってみよう
(「Together」の歌詞の一部、冒頭から)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20070220/mng_____hog_____000.shtml