会見で頭を下げる太田知事=20日午前10時39分、大阪府庁で
10年前に全庁で13億3000万円の裏金が明らかになった際は、当時の横山ノック知事と幹部職員ら306人が減給や文書訓告となったが、懲戒免職はいなかった。今回は対象者は少ないものの、返還指示後も裏金の保管・流用が続いていたことを重視、知事が初の給与返上に踏みきったほか、7人を懲戒免職とした。太田知事は同日、記者会見し、「府政への信頼を大きく損ない、府民に心からおわび申し上げる」と陳謝した。
ただ、組織的な裏金づくりを続けていた北部、南部の両家畜保健衛生所と、裏金の使途が未解明の呼吸器・アレルギー医療センターの計3部署については事実関係の解明が不十分だとして処分を先送りし、近く大阪府警に業務上横領や詐欺罪などで刑事告発する。
新たに懲戒免職となったのは環境農林水産部流通対策室勤務時代に裏金を私的に流用したとみられる植村典久・府立城東工高課長補佐(54)と西口安重・府タウン管理財団管理部参事(51)、空港対策室勤務時代に公金着服が明らかになった天川真志・農政室主事(34)の3人。
植村課長補佐は99〜02年度に裏金567万円を無断で流用。「使途は覚えていない」と説明しているが、府は私的流用の疑いが濃いとみている。前任者の西口参事も97〜98年度、裏金20万円を住宅ローンの返済に充てていた。天川主事は98〜01年度、関西国際空港全体構想促進協議会の事務を担当した際、府などが拠出した運営経費から計330万〜360万円を一時着服していた。
停職5人のうち4人は、職場の親睦会(しんぼくかい)の会計担当だった際、97万〜288万円をいったん着服し、借金返済やギャンブルに流用。残る1人は関連団体の運営費を職場の親睦会に繰り入れ、裏金にするよう部下に指示していた。
減給12人のうち11人は、返還指示に従わず、部下に裏金の保管や流用を指示していた。30人の処分者を出した府教委の監督責任を問われた教育長は減給10%(1カ月)に加え、20%(同)の自主返納を決めた。
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〈キーワード:大阪府の裏金問題〉 横山ノック知事時代の96年に全庁で発覚。酒屋や百貨店に未消化の予算を預けるなどの手法で捻出(ねんしゅつ)し、94〜97年度の4年間だけで計13億3000万円あった。98年に返還を指示したが、徹底されず、昨年末になって、一部の部署で裏金の保管・流用が続いていたことが発覚した。本庁や出先機関の23カ所で計6850万円を確認。うち、3500万円が使われていた。組織的な裏金づくりを続けていたり、職員が借金返済などに私的流用したりした事例も見つかった。
http://www.asahi.com/national/update/0220/OSK200702200023.html