2009年に始まる裁判員制度の広報事業を巡り、最高裁が、委託業者との契約書を作成しないまま事業を先行させていたケースが複数あることが19日、分かった。
同日の衆院予算委員会で、保坂展人議員(社民)が指摘した。最高裁は、不適切な契約だったことを認めた上で、「不慣れな仕事に事務が混乱し、契約が遅れた」と説明している。
問題となったのは、最高裁などが主催し、全国50か所で開催した05年度の「裁判員制度全国フォーラム」や、06年度のPR映画「裁判員」の制作に関する契約など。
最高裁によると、フォーラムは05年10月1日から始まったが、最高裁が大手広告会社の電通と結んだ契約書は05年9月30日付で、契約前の見積額と契約額、事業終了後の請求額がすべて一致していた。このため、最高裁では、「フォーラムが始まった後に日付をさかのぼらせた契約書を作成した可能性が高い」としている。契約額は約3億4000万円だった。
PR映画は、ジェイアール東日本企画に6888万円で制作を委託したが、来月20日の試写会を控えた現在も契約書を交わしておらず、電通に委託した広報アニメーションや、イラスト入りパンフレットについても契約書はないという。