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2007年02月19日(月) 00時00分

団地高齢者に『催眠商法』 東京・清瀬など 東京新聞

 東京・多摩地区北部で、団地の高齢者らから、日用品を無料で配るとして集められ、高額な健康器具を売りつけられたとの苦情が、一月中旬以降、市などの相談窓口に相次いでいる。今月十九日現在で苦情は二十五件に上り、認知症の女性が契約させられていたケースもあった。この販売業者への苦情、相談は全国であり、昨年末には静岡県から行政指導を受けている。関係する自治体は「催眠商法」とみて注意を呼び掛けている。 

 この業者は都内の医療機器販売会社。清瀬市消費生活センターによると、社員とみられる男性らが一月中旬から週末ごとに、新規開店の宣伝を装い、市内の公営団地の一室を借り、集まった高齢者に日用品を無料で配りながら関心をあおる。最後に家庭用温熱治療器を示し「これがあれば医者いらず」などと説明し売りつける。時には自宅まで押し掛け契約させていた。ローンは二十四万八千円、現金で二十一万円だった。

 同センター相談員は「典型的な催眠商法。目的を隠して販売するのは特定商取引法に抵触する」と指摘する。

 社員らは団地を転々としており、これまでに清瀬市で二十件、隣接する東村山市で三件、東久留米市で二件の苦情が市の窓口に寄せられている。東久留米市では、八十四歳で一人暮らしの認知症の女性まで契約させられていた。本人はローン契約したのも分からず、ヘルパーが見慣れない温熱治療器に気付き、家族に連絡した。

 多摩地区の消費生活センターの話では、同社の温熱治療器に関する相談が昨年十一月までに全国で計五百件近く寄せられているがクーリングオフには応じているという。

 条例に基づき改善勧告を行った静岡県によると、同社は三万円で温熱治療器を仕入れており昨年度の売り上げは約三億八千万円に上るという。

 同社は本紙の取材に対し「法律や条例の枠の中で販売しており、苦情があれば真摯(しんし)に対応している」と答えた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070219/eve_____sya_____001.shtml