大阪地検は同日、規定を見落としていたことを認めて女性に謝罪するとともに起訴取り消しを申し立て、大阪地裁は公訴棄却を決定した。
地検によると、女性は二〇〇〇年七月に前夫と結婚し、翌年五月に協議離婚が成立。十月に別の男性との間にできた男児を出産したが民法の規定に従って前夫の長男として出生届を区役所に提出した。
その後、前夫が戸籍に長男の記載があることに気付き、昨年一月に大阪府警港署に公正証書原本不実記載などの疑いで告発。地検は十月六日に起訴した。
十二月一日の初公判で女性の弁護人がこの規定を持ち出して無罪を主張し、担当検事が気付いたという。
女性は取り調べ段階で「区役所の戸籍係の職員に前夫の子として届けるように言われた」と供述していたという。
窃盗罪などは〇五年十二月に有罪判決が確定した。
大阪地検の清水治次席検事の話 女性には申し訳なく思っている。捜査段階でもう少し突っ込んで考えないといけなかった。
■勝手に名前削除…子は無戸籍
山形市内の二十代女性が提出した男児の出生届を、離婚後三百日以内に出されたものだったのに、同市が気付かず誤って受理。その後に気付き、女性の戸籍から男児の名前を削除したため、男児が無戸籍状態になっていることが分かった。
男児は現在、医療費などが全額負担になるなど公的サービスが受けられない状態。山形市は東京都在住の男性の戸籍を二十年間「長女」と誤記載したミスが判明したばかり。市川昭男市長は「不祥事を重ねて引き起こし深くおわび申し上げる」とのコメントを発表した。
市によると、女性は離婚後三百日以内の昨年十一月、父親の欄を空白のまま出生届を提出した。
このケースでは本来、民法の離婚後三百日規定により、男児は前の夫の戸籍に入るが、市は気付かずに受理。女性の戸籍に男児の名前を印字した。
ところが八日後に、別の職員が点検し、間違いが分かり、戸籍法上は印字の訂正には訂正線などを用いるとしているにもかかわらず、砂消しゴムで消し、男児の名前を削除していた。
その際、女性にも連絡したが、削ったことを伝えていなかった。その後、女性が戸籍謄本を取得した際に消した跡に気付き、市に問い合わせて判明した。
<メモ> 離婚後300日規定 民法772条2項は「婚姻の成立の日から200日を経過した後または婚姻の解消もしくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と規定。離婚後300日以内に、別の男性との間に生まれた子は前夫の子として届けなければならない。この規定をめぐっては、安倍晋三首相が「慎重に検討していきたい」と述べ、見直しを求める声が高まっている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070217/mng_____sya_____013.shtml