政府が今国会に提出する社会保険庁改革関連法案の全容が16日、明らかになった。社保庁を廃止する代わりに新設する非公務員型の公法人の名称については、「日本年金センター」「日本年金機構」などの案を挙げた。安倍首相は近く、柳沢厚生労働相らと会い、新法人の名称を最終決定する。
現在の社保庁職員に関しては、〈1〉非公務員となって新法人へ再就職する〈2〉厚生労働省の他部署や他省庁へ転任する——などの選択肢を示し、拒否したり、新法人で不採用となったりした職員は解雇に相当する「分限免職」もありうるとした。社保庁の廃止と新法人の設立は、2010年1月となる予定だ。
法案は、社保庁廃止に伴い、公的年金に関する業務を新法人が引き継ぐ一方で、可能な限り業務を民間企業へ外部委託し、効率化することが柱だ。新法人の業務の一部を職員ごと、民間会社として切り離す「分割会社」や、能力給の採用などが盛り込まれている。
社保庁職員の処遇に関しては、社保庁が新法人の労働条件や採用基準を明示し、再就職希望者を募集する。ただ、不祥事などで処分を受けた職員は、新法人で不採用となる可能性もあり、社保庁が配置転換など救済努力はするが、最終的には解雇される可能性を明示した。
社保庁廃止に向けては、07年度中に有識者による二つの第三者機関を設置。「業務の民間企業への外部委託の範囲」と「職員の採用基準」の基本方針をまとめる。政府は基本方針に沿って新法人の「基本計画」を閣議決定し、有識者や政府関係者による「設立委員会」を08年度中に設置し、新法人の職員採用など具体的な準備を進める。