今年1月に破産したコンピューター周辺機器製造販売会社「アドテックス」(東京都港区)の執行役員に就任し、民事再生手続き中に資産を不正に流用したとして、警視庁組織犯罪対策3課は16日、指定暴力団山口組弘道会系の元組長、下村好男容疑者(45)(中央区佃)ら2人を民事再生法違反(詐欺再生)容疑で逮捕した。
下村容疑者は、会社整理や経営再建の過程で資産を取得する「乗っ取り屋」として知られ、同課では、同社の資産が暴力団側に渡った疑いもあるとみて調べている。
ほかに逮捕されたのは、税理士の菊地大輔容疑者(31)(横浜市港北区大豆戸町)。
調べによると、下村容疑者らは、同社が民事再生手続き中の昨年5〜6月、執行役員の立場を悪用し、自身が経営する中央区のシステム製造販売会社と、不必要な会計処理システムなどの購入契約を結び、同社の銀行口座に計6300万円を振り込んだ疑い。
下村容疑者らは、システムの価格を4000万円以上も上乗せして契約しており、同課では、会社の資産が債権者に渡るのを恐れた下村容疑者らが資産隠しを図ったとみて、ほかの役員が関与していなかったか調べる。
アドテックスは1993年、日本アイ・ビー・エムのコンピューターの外部記憶装置部門が分離独立して設立。昨年10月、04年12月期決算で約50億円の架空売り上げを計上した証券取引法違反の疑いで捜索を受けており、同課では今後、粉飾決算についても捜査し、不透明な資金の流れの全容解明を進める。