府が中小企業振興策として貸し付けた高度化資金のうち、約36億3000万円(昨年12月末現在)の返済が滞っていることがわかった。昨年6月からの半年間に回収できたのは約620万円にとどまり、30億円近くは回収不能となる可能性が高いという。返済条件が変更されたケースも含めると、貸付額の3割近くが当初の契約通りに返されていない状況で、府の甘い審査実態が浮き彫りとなっている。
高度化資金は中小企業の経営基盤強化などを目的に府が3分の1、中小企業基盤整備機構が3分の2を負担、企業グループに通常よりも低利にしたり、無利子にしたりして貸し付ける制度。工業団地や物流センター整備などに活用され、借入期間は最長20年。
府によると、昨年12月末の貸付残高は171件計約255億3400万円。返済が滞っているのは18件(36億3000万円)で総額の14%、条件変更は5件(33億6300万円)で13%に上っている。
滞納分のうち、約24億円の貸付先は経営破たんした大阪市の第3セクター「大阪中小企業輸入振興」(住之江区)。民事再生手続きなどの結果、府の取り分は6億9900万円とされ、残る約17億円の多くも回収不能となるとみられる。
他の約12億円の貸付先は中小企業などでつくる7組合で、いずれも経営破たんするなど“休眠状態”。期限を20年以上も経過、連帯保証人と連絡がとれないケースもあり、大半は貸し倒れになる恐れがあるという。
また、府と中小企業庁で中小企業の設備投資費などを貸し付ける近代化資金(1999年度で貸し付けは終了)も、貸付残高3億8400万円(昨年12月末現在)のうち、約5割にあたる約2億600万円の返済が滞っている。