「なぜ疑惑と言われるのか、今も疑念に思っている」。伊吹氏は小川淳也氏(民主)から説明を求められたが、これまで同様、強気の姿勢を崩さなかった。
伊吹氏は、事務所費に計上できるか明確でない会食費について「秘書が後援会の人と食事する」ケースなどを例に挙げ、「他団体との交渉ではないから、政治活動費ではない。事務所費に入れるしかない」などと説明。選挙の前後の非常勤職員の人件費やコピー機のリース代なども、政治団体職員の人件費や消耗品購入費に計上できないため、事務所費に分類するしかないと述べ、「総務省と相談した結果」であると強調した。
さらに、伊吹氏が主張するのは政治家間の「公平性」だ。「私の事務所費の内容を見せてほしいなら、いつでも喜んでお見せする」と明言したものの、「私の事務所費が多いから公表しろということになると、政治団体をいくつもわけている人は公表しなくてすむ。政治活動を平等にするためには不適切だ」と語気を荒らげた。
穀田恵二氏(共産)は、政治資金の不適切な処理を認めて辞任した佐田玄一郎・前行革相の証人喚問を求め、松岡氏には事務所費の公表を迫った。しかし、松岡氏は伊吹氏と同様、「架空のものは一切ない。一律に平等に基準を決めていただければ対応する」の一点張りだった。
馬淵澄夫氏(民主)も13日の質疑で伊吹、松岡両氏らを追及したが、「自己採点は50点」。問題を浮き彫りにする証拠などが新たに出ていないため、盛り上がりに欠けている。
小沢氏は12日の記者会見で、自らの事務所費について「整理が済み次第、時期をみて、遠からず公表したい」と改めて強調した。しかし、民主党内には公表を迫る動きはなく、小沢氏の判断を見守っているのが実情だ。
一方、政治資金の透明性を増すための政治資金規正法の改正論議も先行きは不透明だ。
民主党は事務所費を含め1万円超の経費に領収書を添付することなどを義務づける案をまとめた。与党は今国会中に一定の結論を得る方針で一致しているが、具体策はこれからだ。
自民党の党改革実行本部長の石原伸晃幹事長代理は9日の講演で「事務所にいくらかかっていると部分ごとに経理で分けて示せば、『なあんだ』という話もたくさんある」と述べた。領収書添付の義務づけではなく、記載項目を増やすことで対応する考えを示したものだ。
ただ、その具体的な方法をめぐっては、党内に「法改正案作成から成立まで2〜3カ月かかる。当面は内規改正で対応すべきだ」など様々な声が出ている。同本部のコンプライアンス小委員会が16日開かれたが、対応は定まっていない。