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2007年02月15日(木) 00時00分

「請求遅い」と門前払い朝日新聞

 石原慎太郎知事らが海外出張した際の高額な宿泊費は違法だとする住民訴訟で、東京高裁は14日、知事らから計約98万円を請求するよう都に命じた一審判決を変更し、住民の訴えを却下した。「(提訴の前提となる)住民監査請求の時期が遅すぎた」という理由で、実質審理には入らなかった。支出の適法性には全く踏み込んでおらず、原告側は上告して最高裁の判断を仰ぐ構えだ。

 昨年6月の一審判決は、01年9月の米ワシントンへの出張で、「条例で定められた事前協議を経ずに、宿泊費が規定額を超えて増額された」として、住民側の請求を一部認めた。一方、同年6月のガラパゴス出張は、「原告が住民監査請求をした時期が、法定の期限(1年)を超えていた」と門前払いにした。

 知事らはガラパゴスで、小型クルーザーを借り切るなどして9泊で約1444万円を使った。ワシントンでは最高で1泊26万3千円(規定額の約6・5倍)のホテルに宿泊した。

 14日の高裁判決は、ワシントン出張も門前払いだった。「01年9月の新聞報道に、開示請求する手がかりとなる情報があった」と認定。それから2年半以上経過した後の住民監査請求を不適法としたのだ。

 逆転敗訴の判決に、原告の松原邦博さん(57)らは「当時の記事には、規定を超える額だったことなど一切、報じられていない。性悪説に立って、知事を常に監視しなければいけないのか」と話した。

 一方、石原知事はこの日、「出張は必要があるから行っている。小笠原が世界遺産に名乗りを上げるにも、恥ずかしくて荒れ果てた島だったから(ガラパゴスを視察した)」などと話した。

■ガラパゴス諸島

 南米エクアドルの西約900キロメートルの太平洋上の火山群島。ダーウィンが1835年に調査して「種の起源」で取り上げた。1978年には世界自然遺産第1号として登録され、環境に配慮しながら自然を対象に観光するエコツーリズムの先進地として有名。クルーズ船に乗りグンカンドリやゾウガメなどを見学する観光ツアーが人気だ。

■知事選控えて「対決モード」

 「石原知事の都政運営がいかに都政を傷つけているのかを明らかにし、都知事を変えることの重要性を訴えるものであります」。14日の都議会代表質問で、民主党の田中良幹事長は切り出した。

 自民党都議らから激しいヤジや怒号が飛ぶ中、都の事業への四男起用、トップダウンで始めた新銀行の業績不振などを批判。知事選まで2カ月を切って、対決姿勢をあらわにした。

 知事も応戦した。民主党が知事提案の予算案にすべて賛成したのを引き合いに、「なぜこれまで、都の提案にすべて賛成したのか。独自の主張で論戦を挑まれたらいいんじゃないですか」と挑発までした。

 田中幹事長は閉会後に記者会見し、「答弁は不十分。都政の私物化と責任回避の姿勢に対して、徹底した論戦を挑んでいく」と鼻息が荒かった。

■都営地下鉄初の黒字へ
 都議会代表質問

 都議会定例会は14日、各会派の代表質問があり、都営地下鉄の経営見通しについて交通局は、大江戸線の開通による乗客増加などで、07年度予算では開業以来47年で初めて黒字化が見込まれると説明した。一方で、累積欠損金は約4800億円あり、解消には相当な時間が必要とした。

 特別区のあり方について総務局は「事務移管や税財政制度の見直しを進めるため、都と区のあり方を検討する組織を設置し、2年後をめどに基本方針をまとめる」とした。

 また、産業労働局は団塊世代の再就職支援などのため、国分寺市に「しごとセンター多摩」を開設する方針を明らかにした。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000702150001