最高裁は60年に、「国が締結する本契約は、契約書の作成により初めて成立する」との判例を示している。契約書の締結日をさかのぼらせたり、作成前に事業を実施していたりした最高裁事務総局の行為は、この判例に自ら違反した形だ。
最高裁などの説明によると、最高裁は05年4月、5社からフォーラムの企画を募る「企画競争」を実施。選定した電通と3億4126万円で請負契約を結んだ。
書面上の契約日は、フォーラムの初回開催日の前日に当たる同年9月30日で、大谷剛彦・最高裁経理局長(現・同事務総長)名で押印があった。
しかし、14日の衆院予算委で、社民党の保坂展人委員が、「開催日前日の契約」という不自然さを指摘。これに対し、最高裁は「9月30日よりも後に、その契約書面を作った可能性が高い」として、さかのぼり契約があったことを認めた。
さらに、保坂委員が、契約書上の締結日より前に、ポスターやチラシの製作などの開催準備が行われ、経費が使われていた疑いを質問。最高裁側は「順序が普通の形ではない可能性があるのはご指摘の通り。概要を固めるのに時間がかかり、後手に回った」とし、この点も会計処理が不適正だったことを認めた。
http://www.asahi.com/national/update/0215/TKY200702140369.html