政務調査費の使途に関心が高まる発端となった目黒区議会で、収支報告書の減額修正が相次いでいる。監査請求で目的外支出と指摘された以外に、区民感情に配慮して自主的に修正した例もある。不適切な使い方が発覚した昨年11月以降、3会派計17人の議員が418件、約1248万円分を13日までに報告書から削った。議員定数(36)の半数近くが修正したことになる。
修正内容のうち、実際に区監査委員から返還を勧告されたのは国会議員のパーティー券の購入費用に充てた支出など7件だけで、ほとんどが監査請求が出された直後に自主的に修正されている。
同区議会の収支報告書は政調費の年額204万円を上回った支出報告も慣例的に認められている。その場合は204万円分しか支給されていない。減額修正しても年額を上回った場合は返還はない。実質的な返還額は約988万円となる。
減額修正分を主な会派別に見ると、自民が約231万円、公明が約922万円、区民会議が約93万円などとなっている。
このほか、監査請求などで指摘されなくても自ら修正した例もある。
雨宮正弘区議(自民)は05年4月に33人で群馬県の谷川岳を視察した際のバス借り上げ代など計約23万円分を報告書から削った。会費5千円で参加者を募った視察旅行で、不足分を政調費で補ったという。
「バスは『動く会議室』と認識しているし、行きも帰りも新年度予算に関して参加者と議論を交わした。が、一連の騒動での区民感情を考えた」という。
磯野弘三区議(同)は05年度の事務所費36万円を修正した。磯野区議によると事務所は自宅マンションの一室で、面積割合で家賃の一部を政調費でまかなった。ただし、「子供に勝手に事務所部分に出入りさせないなど公私を分けてきた」という。
事務所費に関する議会運営委員会の申し合わせには反していないが、「実態を知らない多くの人に誤解を受けることもあり、修正を判断した」としている。
木村洋子区議(区民会議)が修正したのは、05年7月〜12月にかけて文京区内の郵便局で購入した切手5150枚と往復はがき500枚分の計約45万円分。木村区議によると、実際に区民へのアンケートや議会報告で使った支出だという。
木村区議の当初の収支報告書は約249万円。修正理由については「政調費の年額(204万円)に近づけるために調整した」と話している。
◆飲食・会費1件5000円限度に◆
渋谷区の桑原敏武区長は13日、同区議会の政務調査費のあり方について審議していた検討委員会の答申を区議会に送った。答申には、飲食費や町会、商店会などの会費について一人1件あたり5千円以内とする限度を設けることなど使途基準の見直しが盛り込まれた。委員会では、公認会計士などによる外部監査をすべきだという意見もあったが、答申では「費用等を考慮した場合、早急な導入は困難」とされた。
同区議会の政調費は一人月額20万円が会派ごとに支給されているが、使途基準は会派ごとの判断に委ねられていた。
答申では使途基準について、人件費として常勤や家族の雇用は除外▽事務所費は対象外、といった点を申し合わせ事項などで明文化する必要があるとした。
年度ごとに1回とされている収支報告を、四半期ごとにし、収支報告書には領収書の原本を添付することや、収支報告書はできる限り区議会ホームページで公開することが望ましいとした。区議会は条例化も含め、3月議会で協議する。
http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000702140002