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2007年02月14日(水) 22時39分

グーグル、ベルギーの著作権侵害裁判で不利な判決--欧州各国への影響は読売新聞

 ベルギーで審理されていた著作権を巡る裁判で、Googleに不利な判決が下された。著作権に詳しい法律専門家らは現地時間2月13日、これはほかの欧州諸国における裁判に影響をおよぼす可能性があるが、より許容範囲の広い法律を施行している米国の裁判所は左右されないだろうと述べている。

 ベルギーの裁判所は現地時間2月13日、検索大手Googleに対して、フランス語およびドイツ語で書かれたベルギーの新聞記事の一部を「Google News」およびベルギー版Google検索サイトに掲載しないよう命じ、先に下していた同様の判決を追認した。一方で、Googleがこの裁定に同意したことから、同社が命令に応じなかった場合に支払わなくてはならない罰金を1日あたり130万ドルから3万2500ドルへ減額した。

 今回の判決は、同件に関してGoogleに下された2度目のものである。Googleが2006年9月に敗訴したあと、本裁判は再審理が行われていた。Googleは2006年末に、ベルギーのジャーナリストやカメラマンと和解したものの、新聞各社の代表団体であるCopiepresseとの交渉は不調に終わった。Googleは再審理が行われている間、裁判所の命令を遵守していた。

 Googleの広報担当によれば、同社は裁定を不服として控訴するという。

 広報担当のRicardo Reyes氏は、「今回の判決には失望している。われわれは、Google.beおよびGoogle Newsは完全に合法で、貴重かつ重要な情報をインターネットユーザーに提供していると信じており、判決に控訴することを決めた。ただし、記事やその他の素材のコンテンツ所有者がGoogleサイトからコンテンツを削除したいと望む場合は、その旨を通知すべきだという当社の主張に判事が同意したことは歓迎している。これまでと同じく、われわれは素材の削除に関するあらゆる要請に応じるつもりだ」と述べた。

 「Google検索およびGoogle Newsでは、テキストのほんの一部しか表示していないという点が重要だ。記事全体を読みたければ、ユーザーは当該の情報が掲載されているウェブサイト運営者のサイトを閲覧する必要がある。ウェブサイトへのアクセスの価値を高めるという点で、検索エンジンは運営者に大きな利益をもたらすものだと、われわれは考えている」(Reyes氏)

 著作権に詳しい法律専門家らは、このたびの判決はGoogleに強いメッセージを発信するものだと指摘している。

 ボストンの法律事務所Bromberg & Sunsteinで著作権および商標を専門としている弁護士のLee Bromberg氏は、「ベルギーの裁判所がGoogleが度を越しているとする裁定を下したことで、まずはコンテンツ所有者側が先手を取った。Googleは、著作権法に対してきわめて強引な姿勢を取っている。(中略)この判決は、Googleにそうした姿勢を見直すよう迫る深刻なメッセージだ」と語った。

 Googleは、記事をキャッシュしたコピーを保管してコンテンツの一部を使用するのは素材の公正な使用範囲内の行為であり、著作権に抵触しないと主張しているが、裁判所はこれを否定した。また、Googleサイトに記事を使用されたくない新聞社は、コンテンツを除外するための負担を引き受けるべきという同社の意見も退けられている。

欧州各国の今後の対応

 Bromberg氏はほかの欧州諸国がこうした判断に倣う可能性について、「欧州諸国が、ベルギーの裁判所が下した判決を道理にかなっているととらえる可能性は十分にある」と述べ、「欧州では米国ほど最新技術がもてはやされないようだと、わたしは認識している」と付け加えた。

 カリフォルニア州パロアルトにあるGreenberg Traurigで弁護士として働くJohn P. Ward氏は、Googleにとって、欧州諸国が今回の判決を先例として扱うことを食い止めることは非常に難しいだろうと述べる。「欧州各国の裁判所がそれぞれ同様の立場を取れば、Googleのビジネスに多大な影響がおよぶのは間違いない」(Ward氏)

 専門家は一様に、ベルギーの裁判所の裁定が米国における訴訟を左右することはないと口をそろえている。もっとも、Google Newsの著作権に関する違反でGoogleを訴えているAgence France-Presseの弁護士は、今回の判決に大いに関心を寄せるはずだと、サンタクララ大学法学部の助教授で、同大学のHigh Tech Law Instituteで所長を務めるEric Goldman氏は指摘した。「とはいえ、判事がそれを重視する可能性は低い」(Goldman氏)

 以前は米国内著作権の登記人をしており、今はワシントンD.C.の法律事務所Dechertに在籍しているRalph Oman弁護士は、米国の著作権法は記事のキャッシュ化を認めていると話す。「米国では、Googleが提供しているキャッシュ化されたリンクを経由し、普段は新聞社が販売している記事のアーカイブに無料でアクセスできる」(Oman氏)

 控訴審でも敗訴した場合、Googleは裁定に従ってベルギー版のGoogle Newsを作らねばならないと、Goldman氏は説明している。あるいは、今後の訴訟を避けるために、Google News全体の仕様を変更するという一歩踏み込んだ対策が採られる可能性もあると同氏は述べる。(CNET Japan)

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http://www.yomiuri.co.jp/net/cnet/20070214nt06.htm