耐震強度不足が判明した「アパホテル天王寺駅前」=14日午前、大阪市阿倍野区で
市によると、強度不足が見つかったのは同ホテル2階にある鉄骨コンクリート製の大型の梁(はり)2本。市が再計算したところ、震度5強程度の中規模地震で損傷しないことを定めた建築基準法に照らして必要な強度の66%しかなかったことが判明した。特に接合部が弱く、市側は「建物全体を支える重要な梁なのに、中規模地震で大きな損傷を受ける恐れもある」と指摘している。
偽装があったかどうかについては、「計算に誤りは多いが、悪意は見あたらず、偽装ではないと考えている」と説明。水落建築士が関与した同市内のアパグループのマンションは調査の結果、「問題なし」と判断した。
同ホテルは05年5月、民間検査会社の日本ERIが建築確認をして同8月に開業した。同グループの建物の耐震偽装問題を受け、すでに3月から営業を停止する予定だったが、この日、急きょ休業を決めた。
水落建築士は14日午前、朝日新聞の取材に対し、「大阪市から連絡がないので詳細はわからないが、少なくとも梁の強度が70%程度しかないということはないと思う。見解が異なるのではないか」と話した。
同グループの高層建築物をめぐっては昨春、水落建築士が関与した埼玉、千葉両県のマンションで構造設計書の差し替えが発覚し、国土交通省がサンプル調査を自治体に要請。その後、京都市のホテル2件でも耐震強度不足が見つかり、補強計画が進められている。国交省は水落建築士が関与した全物件の調査をするよう自治体に要請し、14日中に調査状況を報告するよう求めていた。
http://www.asahi.com/national/update/0214/OSK200702140008.html