全国の自治体から税に関する情報処理を請け負っている総務省所管の公益法人「地方自治情報センター」が収入超過状態にあるとして、県の包括外部監査人は13日、センター側に委託料引き下げを働き掛けるよう盛り込んだ報告書を寺田知事に手渡した。報告書は「2005年度の収入超過は1億円以上」と指摘、知事も同省などに要請する方針を示したが、同センターは「会計全体では416万円」として削減には応じられないとしている。
同センターは地方消費税を都道府県に分配する計算などを一手に行っており、各都道府県が随意契約で業務を委託している。秋田県も業務委託費として05年度には9625万円を支払った。
包括外部監査人を務めた新日本監査法人の大坪秀憲公認会計士によると、競争入札に適さないことなどを理由に、県が05年度に公益法人と結んだ随意契約1099件のうち、契約額が多い90件について、契約先の決算書も含めて調べた。
その結果、センターの情報処理事業だけで3億8962万円の黒字があり、管理費2億7984万円を差し引いても、約1億1000万円の収入超過になることが判明。中でも、報告書は、地方消費税を各都道府県に割り振る計算費用が2300万円もかかっている点に疑問を呈している。
同センターは、事業を含めた一般会計全体の収支差は416万円に過ぎず、益金をできるだけ出さないとする公益法人会計基準に基づけば問題がないとしており、「委託料引き下げはできない」と説明している。
同センターの歴代理事長は、元事務次官ら同省OBが務めている。一般会計から支払われた05年度の役員費は3893万円だった。
報告書は、県が356万円で県物産振興会と契約したパンフレットが、2万部の計画に対し、5000部しか作成されていないことを指摘したほか、民間と競合している県有温泉施設「県健康増進交流センター(ユフォーレ)」については売却なども検討するよう求めた。