米航空宇宙局(NASA)は米東部時間15日午後(日本時間16日午前)、極域の夜空を彩るオーロラの謎に挑む磁気圏観測衛星テミスを、フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げる。5基の衛星を宇宙空間で切り離し、高度が異なる軌道に配置。それぞれの場所での電子の流れなどを詳しく観測し、オーロラ発生の仕組みの解明を目指す。
オーロラは、太陽から噴出した電子などのプラズマ(太陽風)が極域上空の酸素原子などにぶつかり、光らせるものだ。
実際には、太陽風は地磁気の影響で地球に直接降り注がず、いったん裏側(夜側)に延びる「磁気圏の尾」と呼ばれる領域に集結。磁気圏が乱れる「サブストーム(小嵐)」という現象が起こると、再び地球へ向かい、オーロラを発生させると考えられている。
しかし、サブストームが起こる場所や、発生の仕組みは、詳しくわかっていない。オーロラの高度は100キロ程度だが、NASAによると、サブストームの発生高度は「6万キロ」「12万キロ」などの説がある。
ギリシャ神話の「正義の女神」にちなんで命名されたテミス計画では、5基の衛星を磁気圏の高度6万〜20万キロの範囲に1列に配置。地球へ向かう電子の流れなどを詳しく観測する。
1機のロケットで打ち上げる観測衛星の数では、今回の5基が過去最多。計画主任研究員のバシリス・アンゲロプロス博士(米カリフォルニア大バークリー校)は「科学者はサブストームの発生場所を30年以上も探してきた。テミスなら突き止められる」と話した。