愛媛県砥部町の県立とべ動物園は、昨年11月9日に生まれた雌のアフリカゾウ「媛」の人工飼育に取り組んでいる。日本動物園水族館協会などによると国内初といい、7人の飼育員は、特にどんなミルクを与えるかを試行錯誤している。
媛の母親は出産直後、媛を踏み付けようとするなど攻撃的な行動を見せたため、すぐに人工飼育に踏み切った。
飼育員の椎名修さん(44)は、インターネットで海外の論文などを調べ、牛の生乳をベースに、ブドウ糖や家畜用のミネラル飲料水で薄めるなど、さまざまなミルクを作った。
現在はパーム油が入った人間用粉ミルクを1日8回、1.8リットルずつ与えている。だいぶ飲むようになったが、免疫力を持つのに必要とされる母親の初乳を十分飲んでいないため、椎名さんは「この先、生きていけるだろうか」と不安そうだ。生後3カ月で体重は147.5キロ。思うように増えないという。
寒さ対策として、室内をヒーターで暖めて20—25度にし、乾燥を防ぐために皮膚にオリーブ油を塗り、服を着せている。
媛は、干し草を口に入れたり、鼻でひもを引っ張ったりと好奇心いっぱい。椎名さんは「野生動物のようには動き回れないが、丈夫に育ってほしい」と願っている。
ZAKZAK 2007/02/13