この論点は、下級審で判断が分かれていたが、第三小法廷は「過払い金についての不当利得返還請求権は、借り主を保護する目的で設けられた利息制限法の規定によって発生するので、(6%が適用される)商行為によって生じたものとは言えない」と判断した。
過払い金の返還を求める借り手側にとって、実際に受け取る利息の額は少なくなるが、時効の面では商法の5年ではなく民法の10年が適用されるため、請求できる期間が長くなる。
鳥取県米子市の不動産業者が、同市内の金融業者から93年に300万円、98年に100万円をいずれも年利40%で借りた融資を巡り、過払い金416万円に6%の利息をつけて支払うよう求めていた。
不動産業者は最初の借金で発生した過払い利息を後の借金の返済に充てることも求めたため、同じ貸主から複数回の借金をした場合、ある借金での過払い利息を別の借金の返済に充当できるかどうかも論点になった。充当できれば元本自体を減らすことができ、減った分には適法な利息もかからなくなるので、借り手に有利になる。
第三小法廷は、「原則的には充当できないが、継続的に融資するという基本契約があるのと同じような貸し付けが繰り返されていれば充当可能」とする一般基準を初めて示した。その上で、今回の例では、最初の融資の段階で次の融資は想定されていなかったとして、金融業者側の敗訴とした二審・広島高裁判決を破棄。同高裁に審理を差し戻した。
http://www.asahi.com/national/update/0213/TKY200702130288.html