健康ブームを背景に多種多様な商品が出ているサプリメント(栄養補助食品)などの健康食品に関し、厚生労働省は、安全性をどう確保するかについて検討する有識者会議を4月に設置することを決めた。
同省では食品衛生法の改正も視野に入れており、食品に含まれる成分の届け出の義務化の是非などについて有識者会議で協議する。
検討対象となるのは、国の審査を経て効能表示を認めた「特定保健用食品」や国の基準に合えば栄養分の機能が表示できる「栄養機能食品」に含まれない、法令上、一般食品と同じ扱いを受けている健康食品。これらの食品の国内の市場規模は健康ブームとともに拡大、2000年には1・3兆円(推計)あり、10年には3・2兆円に達すると見込まれている。
健康食品の安全性について厚労省は2005年2月、「安全性に関する自主点検ガイドライン」を作成、原材料の安全性について文献などの情報収集や試験を行うよう促していたが、審査の対象などとはなってこなかった。
しかし、サプリメントなどの健康食品は、製造過程で栄養成分を抽出・濃縮することが多いため、原料に含まれる微量な有害物質も同時に濃縮される恐れがあるほか、品質の低さや副作用の懸念が指摘されるものもあり、一般の食品などと比べ、安全の確保がより重要な課題となっている。
昨年2月、ビールメーカー子会社が製造していたキノコの一種「アガリクス」を使った食品に、他の発がん物質による発がんを促進する作用のある成分が含まれていることが判明。また、大豆イソフラボンのような有用な成分でも、濃縮サプリメントによる過剰摂取で健康への悪影響が否定できないケースもあった。
このため厚労省は昨年秋から、海外での健康食品の安全確保策について調査に着手。調査結果などを材料に、有識者会議を設置して議論することにした。約10人のメンバーを選び、米国などでの健康食品の安全確保策を参考に、数か月かけて協議する予定だ。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070212ik03.htm