機構は07年度中につくる中期計画(08〜12年度)に2割削減の数値目標を盛り込む。
計画では、500床以上の大病院について08年度以降、救急医療や小児・産科、がん治療などの分野で、病院が、地域の医療ネットワークに組み込まれている場合などに融資を限定する。都道府県が策定する医療計画に基づいて判断し、一般の病棟建て替えや医療機器の購入には融資しない。
また、中小病院や福祉施設に対しても公共性が認められる融資を優先し、民間金融機関と共同で融資している場合は機構の融資比率を引き下げる。また、機構が行っていた開業医の後継者探しの支援事業を07年度末で廃止するなど、業務のスリム化も進める。
国内の医療・福祉分野への融資残高総額は約10兆円で、機構が約3分の1を占める。05年度は医療機関向けに1852億円、福祉施設向けに2174億円が融資された。
機構の融資は、政府の信用力で調達する財政投融資が原資になっている。民間金融機関には太刀打ちできない長期・低利の融資ができるため、「民業圧迫」との批判もくすぶっていた。
小泉前首相は「小さな政府」を掲げ、郵政民営化や政府系金融機関の統廃合を決めた。その流れで政府は05年末、福祉医療機構や日本学生支援機構などの独立行政法人の公的融資についても縮小の方針を決定。これを受け、福祉医療機構を所管する厚生労働省が昨年末、融資規模の縮小を柱とした機構の見直し案を打ち出していた。