リンナイは、開放式給湯器の薄型化に取り組み、89年にそれまでと同じ熱量を維持したRUS—5Nなどを発売。この際、薄型にするため、ガスを燃焼させるバーナーを4本から3本に減らした。バーナー1本あたりの負荷が高まるため、同社技術チームは、周辺部品の性能も向上させて、安全性を保てるよう大幅に設計変更したという。
さらに91年からは、5Nシリーズと機能はほぼ同じで、デザインが異なる5Rを後継機として発売。丸みを帯びた形を、角形に変えた。
同社によると、開放式小型湯沸かし器の事故報告は、今回明らかになった5Rや類似型の「RUS—51BT」以外にはなかった。5Nも70万台以上販売したが、事故報告はないという。一方、80万台以上を販売した5Rでは、00年1月から今月7日までに事故が相次いで報告され、東京都豊島区、広島市、横浜市で計3人がCO中毒のため亡くなった。
同社は、5Rの設計で薄型化のためバーナーの数を3本のまま維持したが、デザイン変更に伴い、吸気口の位置や数を変えたり、排気口の外側にあったフードを機器の内部に納めたりするなどの設計変更を行った。
そのため同社では、薄型化に伴ったバーナーの3本化に加え、5Rでの吸気口の構造などに問題があった可能性もあるとみて、両機種を分解するなど比較し、検証する方針だ。
一方、リンナイは、問題の機種を改良し、99年12月に新機種に切り替えた。コンピューター制御で、一度でも不完全燃焼防止装置が働いて燃焼を止めると、その後は再点火できない構造に改めた。
事故が起きた湯沸かし器はいずれも、不完全燃焼防止装置がついている。しかし、すすがたまると不完全燃焼防止装置が利かなくなる恐れがあるという。
防止装置が働いてガスの供給が止まっても、再点火すると、20秒ほど燃焼し、再び防止装置が働いて火が消える。こうした操作を繰り返すたびにすすが発生し、防止装置の感知穴がふさがってしまうという。
再点火できなければ、事故にはつながらなかったと考えられている。
新機種への切り替えについて、同社幹部は、「常々、安全性の向上に努めており、そうした観点での改善」と説明。事故を想定しての改良を否定した。
しかし、別の幹部の一人は取材に対し、「(再点火を続けるという)想定外の使い方をされる人がいることが分かったから」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0210/TKY200702100338.html