同社によると、最初の中毒事故は2000年1月に東京都内で発生。同社はこれより前の99年、事故機種をOEM(相手先ブランドによる生産)で販売していた東京ガスから、不完全燃焼防止装置が機能しない例があると報告を受けた。
調査したところ、いったん装置が働いて燃焼停止してから再点火する動作を数百回繰り返すと、機能しなくなることが明らかになった。このため同年12月、再点火できなくする仕組みを取り入れた新製品を発売したという。
04年12月にかけての4件の中毒事故についてはいずれも発生後に、当時の社長らトップにも報告されていた。だが、公表については取締役会などで「使用環境による事故と判断し、検討しなかった」という。同社はホームページに不完全燃焼の際の炎の色を写真で掲載するなど、注意を促していたとしている。
昨年7月にパロマ工業(名古屋市)の製品によるCO中毒事故が判明し、ガス器具の安全性に対する関心が高まった際も、リンナイは自社製品の事故を公表することはなかった。
内藤弘康社長は10日の会見で「換気していれば事故は起こらなかった。換気は常識と考えていた」などと釈明。一方、同社幹部からは「換気をお願いするだけでは不十分だったと認識している」との声も出た。
また、リンナイは事故を把握するたびに経済産業省に報告していた。同省はリンナイと同様、「利用者の使い方の問題が原因と推定した」として公表していなかった。
■96年にも1人死亡
リンナイは10日、新たに同社のガス器具が関係する一酸化炭素(CO)中毒事故として、1996年11月に札幌市内のマンションで住人の女性=当時(23)=が死亡する事故があったと発表した。
同社によると、これまで公表した湯沸かし器とは別の密閉式のガス給湯器で、排気筒の継ぎ目のすきま部分から室内に漏れた排気を吸ったのが原因。同社は「排気筒は設置業者が設置したもので自社製でなく、給湯器には問題なかった」としている。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070211/mng_____sya_____000.shtml