警視庁野方署の調べや東京ガスによると、事故は92年12月8日正午ごろ、東京都中野区野方2丁目の弁護士平形幸夫さん(当時37)方のアパートの一室で、幸夫さんと妻(同38)、長男(同9)、長女(同6)、次女(同4)の5人が死亡しているのがみつかった。発見時、台所の湯沸かし器に火はついておらず、水が出たままだった。室内にはCOが充満していたという。換気扇を使わず、部屋も閉め切っていたとみられる。死因は、湯沸かし器の不完全燃焼によるCO中毒と断定された。
使われていたのは、同社製の開放式湯沸かし器「RU—5EX」で83年の製造。安全装置はなく、一連の事故とは違う機種だった。
同社の説明によると、この事故について当時、警察やガス会社から連絡はなかったという。同社商品開発部の男性社員(当時)が報道機関から「リンナイ製だった」として、機種名を告げられた上で、性能などについて電話で取材を受けていた。社員は、取材を受けたことを記した簡単な報告メモを残したというが、警察やガス会社などへ照会することはなく、同社は、事故を受けて、利用者に注意を呼びかけるなどの対応策を取ることはなかった。
同社によると、湯沸かし器などガス器具の事故が発生した際、メーカーに事故の連絡が来るのは、事故原因の分析に技術的な知識が必要な場合などに限られる。利用者の換気の不徹底などと結論づけられた場合、警察やガス会社から連絡はないという。同社は積極的に情報収集をしていなかったという。
http://www.asahi.com/national/update/0211/NGY200702110002.html