病院の財務状況などを監査した市包括外部監査人が9日明らかにした。
監査結果報告書によると、時効を迎えていない04年度から昨年8月末までの簿外の未収金も1億7000万円ある。決算に計上された6800万円の3倍弱になる。簿外の未収分の大部分は入院患者で、多い患者で数十万円という。
市民病院や外部監査人によると、医療費を支払わない患者数は年々増えている。連絡が取れなくなったり、「支払い能力がない」と判断したりした場合に決算に計上しなかった。同病院では、分納などで返済を申し出た患者への対応に追われ、電話や催告状を送りながらも連絡してこない患者数や未収の総額の把握に手が回らなかったという。
市民病院の天野裕司事務局長は「帳簿に入れない行為は問題との認識はあったが、現状の職員体制では対応が困難だった。医事システムを改良してすべての未収金が、計算できるようにするなど適切に対処したい」と述べた。
◇不況、窓口負担増 深刻な未収金問題
病院経営は診療報酬の改定などで厳しさを増しており、未収金問題は大きな課題だ。バブル以降の不況の影響や患者の窓口負担の増加で、無保険の外国人労働者が多い地域の病院や救急を扱う大病院などで未収金が目立つという。
全国の6割に当たる5570の病院が加盟する4病院団体協議会の調べでは、2002−04年の未収金の累積総額は約853億円と推計されている。
「医療者はまず患者の生命を守るための治療が最優先で、国民皆保険の前提で動いている。たとえば救急で運ばれた患者が保険に加入しているかどうかまでは確かめない」と話すのは、愛知県医療法人協会の江端要事務長。「皆保険は世界に誇るすばらしい制度だが、医療者、患者が互いにルールを守らないと崩壊する恐れがあり、社会的な対策を打つ必要がある」と強調している。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070210/mng_____sya_____004.shtml