◇処分検討委が意見書
口頭で禁止指示 「不的確だった」
県庁の裏金問題で、物品調達問題処分等検討委員会が8日、提出した意見書には金子原二郎知事の責任を問う言葉が並んだ。「調査が十分でなかった」「廃止、禁止が徹底していなかった」。金子知事は、裏金の存在を把握した99年春の対応に問題があったことを認め、「責任を痛感している。反省している」と繰り返した。
検討委員会の委員長を務めた水上正博弁護士は「外部の委員会が知事に賠償を求めるのは、全国でも初めてのケースではないか。法律家として、厳しい内容になっていると思う」と語った。
意見書が指摘したのは、99年に裏金の存在を知った際の金子知事の対応のまずさだ。知事は当時の出納長に裏金をなくすよう口頭で指示したものの、公式な文書を出さなかったため、職員に徹底されていなかった。
この点について金子知事は記者会見で「今でも各部長に指示をして、文書化しないこともある」と弁明しながらも「99年の時点で的確な指示ができず、このようなことが起こった」「内容が内容なので、文書でやるべきだった。隠す意図はなかったが、今思えば、明らかにすべきだった」と、対応に問題があったことを認め、陳謝した。
返還額は、利息分を含めると約2億円に達する見込み。県は意見書に沿った形で職員らによる返還額や処分を決定する方針だ。
検討委の福崎博孝副委員長はこうクギを刺した。「意見書で示した処分や返還額は、最低限の基準。これ以下は想像できない」
意見書の骨子
■返還額
返還を検討すべき対象額は4億3614万円。うち控除する額は(1)納入業者から返還される残高(2)県以外の団体に配分した金額(3)懲戒免職職員に損害賠償として返還を求めるもの(4)消耗品や備品など公的使用が明らかにされているもの。
ただし、公的使用が明らかになっている2億4401万円については、正規の手続きを経ていない以上、物品の必要性や価格の適正性に問題があったと考えられる。20%を返還対象とする。
以上から、1億6241万473円と利息相当分(年利2%)を返還するのが相当。
■知事の責任
知事は就任1年後の99年に裏金の存在を知り、適正化を指示したが、徹底されなかった。すぐに出納長に調査と解消を指示したことは一定評価できる。しかし、調査が十分ではなかったこと、裏金の廃止・禁止が全庁的に徹底しては行われなかったことなどから、違法な手続きによる不適切な物品調達が続いてきたことについて、指揮監督上の責任が認められる可能性がある。
■返還額
(1)知事等三役、教育長(退職者を含む) 返還総額の10%程度を負担。
(2)不適切な使途に関与した職員 通常の返還額に該当金額を加算。
(3)退職者 94年度以降の退職者に、返還総額の10%程度の負担の協力を求めるのが相当。
(4)現役職員 返還総額から(1)〜(3)を除く額。慣習的、組織的に行われてきたことを考慮し、多くの職員に広く負担を求める。係長以上は役職によって差をつける方法を検討するのが相当。
■処分
(1)知事・副知事 給与の減額措置が相当。
(2)副出納長・会計課長 戒告が基準。
(3)職員
グループ別に分類して処分の基準(停職、減給、戒告、文書訓告など)を示す。
■再発防止策 長年のあしき慣習の温床の根は深い。県職員の法令順守や倫理の向上を継続的に検証する外部有識者を交えたコンプライアンス委員会を設置し、検証・指導を行うことが有効。
取引額が多い納入業者については、会計年度ごとに全取引の明細・履歴を保管する方法を検討してほしい。
県の内部通報制度が機能していない。(1)県民や取引業者からも通報を受け付ける(2)外部窓口への通報制度を重視する(3)条件付きで匿名での通報を認めることなどが必要。
http://mytown.asahi.com/nagasaki/news.php?k_id=43000000702090003