賠償請求の対象に決めたのは、山本元・前グループ財務部門執行役常務と、不正の舞台となった子会社、日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)の平野博文・元社長。有村純一・前グループ社長についても検討を続ける。来週初めに内部管理体制の強化策を発表するのに合わせ、提訴の方針を正式に表明する。
東京証券取引所は、日興が2月末に提出する決算の訂正報告書などを審査し、3月中旬に日興の株式を上場廃止にするかどうかを判断する方針。日興は前経営陣への厳しい対応で改革姿勢への理解を求め、上場廃止を回避する狙いがある。
特別調査委は、05年3月期連結決算の不正な利益水増しで、山本、平野両氏を「直接かつ主体的に関与」と指摘。山本氏は、NPIがコールセンター大手のベルシステム24買収のために設立した特別目的会社(SPC)を意図的に連結対象から外すなどした疑いが持たれている。平野氏に対しては、NPI社長として他社株転換社債(EB債)の発行日改ざんなどに積極的に関与した疑いが指摘されている。
有村前社長は不正を知り得る立場にあり、特別調査委は「重大な経営上の責任がある」としており、責任追及委は、不正を放置した管理者責任に加え、不正に関与した責任を問えるかどうかを検討している。今後、前経営陣の弁明を聴いたうえで、対象や時期、賠償額などを確定させる。不正決算による信用低下で、業績に悪影響が出るなどの損害を与えた責任などを、賠償対象として検討していると見られる。
証券取引法の虚偽記載や会社法の特別背任などでの刑事告発も検討したが、現状では証拠が不十分なことや、すでに日興が金融庁から課徴金5億円を命じられる行政処分を受けていることから、まず損害賠償請求に踏み切ることにした。
http://www.asahi.com/national/update/0209/TKY200702080390.html