ANA子会社の「エアーニッポン」(東京都港区)の整備士配置が不十分で、激務のためにうつ病になったとして、神奈川県の男性整備士(42)が9日、同社を相手取り、治療費や慰謝料など約2330万円の損害賠償を求める訴訟を横浜地裁に起こした。
原告代理人によると、整備士が航空会社の安全管理体制の不備を指摘する訴訟を起こすのは異例という。
訴えによると、男性は2000年に鹿児島空港の同社事務所に配属されたが、離陸前の航空機整備で、1機に整備士1人しか配置されず、機体の到着が遅れた際は3機同時に整備させられることがあった。冬場の除霜作業の時間が取られておらず、整備時間を削って充てることもあった。
会社は定時運行を要求するだけで、不具合が見つかった際の支援要員の配置もなく、激務と精神的重圧から、男性は01年以降うつ病を発症して計3回休職した。
男性は「会社は目先の利益を追求し、乗客の安全をないがしろにしている。いつ重大事故が起きてもおかしくない」と話している。
エアーニッポンは「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。