市によると、〇五年度末で所有している土地は約三万四千平方メートル。借入金は約六十七億一千九百万円、支払い利息は年間約九千九百万円に上る。
負債総額は約六十四億五千万円で、資産総額は約十五億二千万円。繰り越し損失は累積で約八億四千万円となっており、所有している資産について昨年十二月に時価評価を実施した結果、約四十億九百万円の含み損があることが分かった。
同公社は一九六五年に旧古河市が設立。市民生活の向上を目的に住宅の建設や賃貸、用地の取得、分譲などの事業を展開していたが、民間企業の進出や長引く景気低迷の影響で経営が厳しくなった。特にバブル崩壊以後の地価下落に伴い、含み損が増えて債務超過に陥った。
市は昨年五月、公社の経営改善対策会議を設置し、今後のあり方を検討。直ちに公社を解散した場合、大量の分譲物件が安値で売却され、多額の損失が見込まれることから、段階的に土地を処分していくことにした。
計画では、十五年間にわたり毎年度、補助金三億二千九百万円を支出して債務超過状態を解消。補助金で全額処理するまでの経営支援策として新年度、約四十六億円を無利子貸し付けする。これらの原資は一般財源や金融機関からの一時借入金から調達する。
支援にあたって、公社幹部らにも負担を求める。市長と助役の給料を三カ月間50%削減するほか、元理事長(市長)に百万円、元副理事長(助役)と元出納役に各八十万円、元・現常務理事に四十万円の負担を要請する。
■長年のつけ、市民の負担に
<解説> 古河市住宅公社の債務超過を解消するため、市は四十九億三千万円の公費を投入することになった。市民一人あたりの負担は三万四千円となり、白戸市長は会見で「市民の血税を使うことに理解が得られるか苦渋の決断だった」と話した。
長年、有効な手立てを打たず放置してきた市や公社の責任は重い。
地方住宅供給公社法に基づく住宅公社については、二〇〇二年度決算から時価評価方式が導入されたが、民法に基づき設置された古河市住宅公社では、この方式を導入していなかった。
バブル崩壊後、土地の時価が下がる中、含み損が膨らんでいることは容易に予想できた。だが、時価評価を実施したのは昨年が初めてで、対応の遅れは否めない。 (中西公一)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/ibg/20070209/lcl_____ibg_____000.shtml