個人情報の大量流出をめぐる訴訟で過去最高の賠償額とみられる。これまでは京都府宇治市の住民票データ流出訴訟で一人一万五千円の賠償が最高裁で確定し、一つの基準とされている。
阿部潤裁判長は「流出した氏名、住所、年齢、メールアドレスなどはもとより、原告が関心を持ったエステサービスのコース名やアンケートの回答などは他人に知られたくない事柄で、法的保護の対象となる。氏名や住所だけの場合と比べ、秘密にされるべき必要性が高い」として、プライバシー権侵害を認めた。
判決によると、原告十四人はTBCがホームページ(HP)で募集したエステの無料体験やアンケートなどに応募した。
ところが、HPの運営委託先がサーバーを移設した際、アクセス制限を設けず、原告の個人情報が二〇〇二年三月ごろから、特定のアドレスを打ち込めば誰でも閲覧できる状態になった。
同年五月、ネット上で流出が指摘され、TBCは閲覧できないようにしたが、流出情報はファイル交換ソフトを介して広まり、原告は掲示板に興味本位の書き込みをされるなどした。さらに原告のうち十三人には、迷惑メールが届くなどの二次被害も発生した。
阿部裁判長は「初歩的過誤に端を発し、第三者によって個人情報を流出された原告の精神的苦痛は軽視できず、二次被害で不安が現実化した」として損害額を算定した。賠償額が二万二千円の原告は二次被害が確認されなかった。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070209/mng_____sya_____008.shtml