全国55基の原子力発電所が将来運転を停止した際に必要となる「廃止措置費用」の積み立てが、現状のままでは約3300億円不足することが8日、電気事業連合会の試算で分かった。
同日、経済産業省の総合資源エネルギー調査会に報告された。今後、電力各社は、電気料金の値上げが必要かどうかを検討する。
役割を終えた原発は、強い放射能が減衰するのを待つため、運転停止後約20年をかけて徐々に解体される。こうした解体作業の経費にあてられる廃止措置費用は、これまで約2兆6000億円と見積もられ、電力業界は電気料金に反映する形で積み立ててきた。
しかし、2005年の国の制度改正で、定義が変わった放射性廃棄物の総量が増加することなどから、見積もりを再度行ったところ、不足が明らかになった。電力各社は今後、積み立て増額を避けられず、経営努力でまかないきれない場合は、値上げの可能性がある。