ぜんそく患者らが国や東京都、自動車メーカーに損害賠償などを求めた東京大気汚染訴訟の控訴審の和解協議に向けて、国が原告側に示す大気汚染対策の柱となる。現行法では、八都府県の約二百五十市区町村を対策地域に指定。対策地域に拠点がある運送業者や運輸業者が運行するトラックやバスのほか、ディーゼル乗用車にNOxとPMの排出基準を定めている。
だが、環境省によると、対策地域内の交差点などの自動車排出ガス測定局二百十七カ所のうち、〇四年度にNOxの環境基準を達成できなかったのは、四十一カ所(18・9%)もあった。
このため、対策地域の中に「重点対策地区」を設置し、計画的な削減を進める。知事は対策地区を指定した場合、道路の立体交差化や沿道の緑化など環境改善の具体的な方策を盛り込んだ「重点対策計画」を策定する。
対策地区で集客施設やオフィスビルなどの新設や増設を計画する業者は、営業に伴う出入りで増える車両からのNOxとPMの総排出量の予測値のほか、排出削減策などを知事に届け出る必要がある。知事に届け出なかったり、虚偽の届け出をして、対策地区内に集客施設を新設した業者には、二十万円以下の罰金を科すことができる。
<メモ>自動車窒素酸化物(NOx)・粒子状物質(PM)法 3大都市圏で大気汚染がひどい地域、計約250市区町村を指定し、地域内に本拠地がある運送業者や運輸業者は、NOxとPMの排出基準を満たさないトラックやバスなどの車両が使用できない。30台以上の車両を保有する業者はNOx、PMの削減計画をつくり都道府県に達成状況を報告する義務がある。環境省は、2010年度までに環境基準おおむね達成を目標としている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070208/mng_____sya_____007.shtml