政府は、DVDやCDの海賊版など著作権を侵害している製品などを、関税法で輸出禁止貨物として明記する方針を固めた。
今国会で関税法を改正し、7月1日の施行を目指す。著作権を侵害している海賊版の取り締まり強化を図る。
関税法は、海賊版など著作権侵害物品の輸入はすでに禁止しているが、輸出を禁じる規定がない。今年1月から関税法で輸出が禁じられた偽ブランド品や特許侵害の工業製品などと同様に禁止品目とする。
アジアなど海外市場では、日本の映画やドラマ、音楽などの海賊版ソフトが大量に流通し、日本の業者が大きな被害を受けている。日本が率先して海賊版の輸出を禁止することで、アジア各国に輸出禁止による取り締まり強化を求める狙いがある。他国で製造された海賊版が日本経由で別の国に輸出されるケースなども取り締まれるようにして、水際対策を強化する。
海賊版をめぐっては、昨年末の臨時国会で成立した改正著作権法で、海賊版の輸出が「著作権を侵害する行為とみなす」と位置付けられている。
世界税関機構の推計によると、世界で海賊版ソフトや偽ブランドなど模倣品の売上額は2004年で5000億ユーロ(約78兆5000億円)に上っている。
特許庁が昨年3月まとめた日本企業8000社を対象にしたアンケートでも、約23%の企業が模倣品の被害を受けていると回答しており、被害が深刻化している。