記事登録
2007年02月08日(木) 00時00分

介在2社、01年ごろ設立/関税法違反事件朝日新聞

 輸入豚肉に課せられる差額関税を不正に免れていたとして、柏市の食肉卸会社「ナリタフーズ」の田辺正明社長(60)らが関税法違反容疑で逮捕された事件で、ナ社がデンマークからの輸入に介在させていた香港と国内の2社は、01〜02年にかけて設立されていたことが、千葉地検の調べでわかった。地検は、ナ社が脱税を組織的に始めた時期と関連があるとみて、捜査している。

 調べでは、ナ社は04年1月〜05年2月、介在させた香港と国内の関連会社に輸入価格を水増しさせる形で、基準価格との差額にかかる関税約59億6千万円を免れていた疑いを持たれている。

 地検によると、香港の会社は田辺社長を代表に01年12月、国内の輸入会社は知人名義で02年12月に設立された。

 しかし、2社には社員がおらず、書類作成もナ社の社員が担当。口座もナ社と同じ地銀の柏支店にあり、そこで会社間での送金の実態を作っていたという。

 国内の輸入会社のオーナーは調べに対し、「田辺社長から名義を使わせて欲しいと頼まれた」とダミー会社であることを認めているという。

 一方、田辺社長らは、2社を通した取引を「真実の取引だ」と主張しているという。
    ◇
 一方、ナ社は7日、柏市内のホテルで記者会見した。ナ社側は「現行の差額関税制度のもとでは、食材の安定供給ができない」として、国に対し制度の見直しを求めるとともに、風評被害が出ているとして、国に対して損害賠償訴訟を起こす考えを示した。

 会見には山下凱之副社長と鈴木一弁護士ら3人が出席。

 香港と国内の会社2社を経由しているように装って税を免れていたとする検察側の指摘については、「2社はあくまでもナ社とは別法人で、違法性はない」と主張。「(脱税分は)1円たりとも取得していないし、制度を悪用して成長してきたわけではない」と釈明した。

 さらに、「この制度がそのまま継続されれば業界にとっては致命的になる。WTO(世界貿易機関)で早急に審議し、見直しを世に問う」との声明文を出した。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702080004