イラクへの米軍増派に対する米議会の反対決議案が、来週から下院でも審議入りする方向になった。上院で繰り広げられた議論は、共和党の抵抗を受けて失速。見通しが不透明になっている。下院は上院より可決の見通しが強く、民主党は巻き返しの突破口にしたい考えと見られる。
上院の反対決議案は、共和党のウォーナー前軍事委員長と、民主党のレビン軍事委員長が一本化に合意。共和党の賛成票も見込んでいた。
これに対し、共和党はイラク戦費拠出の継続をうたう別の決議案を持ち出して、反対決議案と一緒に討論、採決を行うよう要求。民主党が認めなければフィリバスター(長時間演説による議事妨害)を行うと主張した。反対すれば、戦場で苦労する米軍部隊に金を出さないことになり、世論の反発を受けかねないクセ球だ。
民主党幹部は、この要求を拒否。5日に討論打ち切り動議を採決したが、賛成49、反対47で、規定で必要な60票に達しなかった。その後の共和党との調整も難航し、手詰まり状態に陥った。
これを受け、下院民主党ナンバー2のホイヤー院内総務は6日、下院も来週、増派反対決議案の審議に入る方針を表明。下院は議事運営で議長や多数派院内総務の権限が強く、定数435のうち民主党が233議席(共和党202議席)を占める。ホイヤー氏は「上院はいつ動くかわからないので、下院が前進することにした」と話した。