奈良県立奈良病院(奈良市)で受診した小学生男児が失明状態になったのは担当医の診断ミスが原因として、同県内の男児と両親が県を相手取り慰謝料など約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、奈良地裁であった。
坂倉充信裁判長は「担当医が必要な検査を怠り、治療が遅れた」とミスを認め、県に約1億3700万円の支払いを命じた。
判決によると、男児は乳児健診で眼の異常が見つかり、1999年5月と8月に同病院で受診したが、担当医は検査せずに「結膜炎」と診断。2000年10月、別の医院で先天緑内障と診断され、手術を受けたが、両目の視力をほぼ失なった。
坂倉裁判長は「男児はうつぶせで寝るほど光をまぶしがっており、先天緑内障の可能性が高かった。眼圧測定や眼底検査を行うべきだった」と指摘した。
県は「詳細を確認し、対応を検討したい」としている。