田辺容疑者は2001年、ともに逮捕された及川三枝子容疑者(51)(我孫子市我孫子)が社長を務める食肉商社「クレバー・アジア・インターナショナル」を香港に設立。翌年には、東京都内に貿易会社「オーエムトレーディング」を設立し、2社を経由するデンマーク産豚肉の買い付けルートを作り上げた。
しかし、今回の捜査で、この2社は実態のないダミー会社だったことが判明。外見上は、オー社がクレ社から1キロ当たり524円程度で輸入し、ナリタフーズに卸す形になっていたが、実際には、ナリタフーズがデンマーク側から1キロ当たり320円程度で直接買い付けていたという。
不正輸入が行われていた04、05年は、BSEや鳥インフルエンザ問題で国内食肉業界は揺れていた。民間信用調査会社によると、こうした中で同社は急成長を遂げ、01年3月期に約248億円だった売上高を05年3月期には約823億円にまで伸ばしていたという。
一方、千葉地検は6日朝から、ナリタフーズ本社や田辺容疑者の自宅など計8か所を一斉に捜索。本社からは午前8時前からの約4時間で、帳簿類など段ボール12箱分の資料を押収した。及川容疑者の自宅マンションでも約3時間の捜索が行われ、終了とほぼ同時に姿を見せた及川容疑者は、「違法性の認識はあったのか」との報道陣の問いにも無言のまま、地検の係官と捜査車両に乗り込んだ。